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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第7章 視聴率ダウン
いくら手ぶらでいいからと木ノ下に言われても
本当に何も持たずに浅香さんを訪問できるわけないと
圭子は安価な「シャ○レーゼ」の洋菓子を買って
午前8時という早い時間だけれど浅香邸の門の前に立っていた。
『うわっ!すごいお屋敷だわ…』
さすが飛ぶ鳥を落とす勢いの下着メーカーの自宅だわと
ビビってしまってお漏らしをしそうになった。
呼び鈴を押すと
インターホンからは慇懃な応答で年配女性らしい方の声が
「どちら様でしょうか?」と返ってきた。
「あ、すいません。私(わたくし)、御社にスポンサーになっていただいておりますテレビ局のものです」
しばしの沈黙のあと
「どうぞ、お入りくださいまし」という声と共に
カシャンっと門扉の鍵が開く音がした。
それと共に門扉の隣の勝手口のような入り口の扉が自動でオープンした。
そこを潜り抜けると
目の前には立派な庭が目に飛び込んできた。
これは本当に個人宅なの?と疑ってしまう。
どこかの美術館を思わせる豪華な庭。
門扉からは石畳が轢かれていて洋館の豪華な建物に続いてゆく。
『なんとか殺人事件の舞台になりそうなお屋敷だわ』
さっさと用件だけを伝えて帰らせてもらおう。
玄関の扉に近づいてゆくと
その扉の前にメイド服を着た女性が立っていた。
『うわぁ~、メイド服を着たメイドさんって本当にいるんだわ
てっきりドラマの中だけかと思ってた』
コスプレでもなく、正真正銘のメイドなんて圭子は初めてお目にかかった。
ピンチヒッターとしてお天気おねえさんをやらされたあの日…
衣装を用意しろと木ノ下に命じられたADさんが圭子のために用意したのがメイド服だった。
あれは彼の趣味だと言っていたっけ…
ここに彼を連れてきたならば泣いて喜ぶかもしれないと思った。