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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第7章 視聴率ダウン
『私、この女性に失礼なことをしたのかしら?』
ここまであからさまに睨まれると
どこかで不躾があったのだろうかと考えてしまう。
「丁度いい。良かったら君も食べていきなさい」
「あ、いえ…私はすでに済ませてますので」
スポンサーとしての心変わりがない言質を頂いたからには
長居は無用だと思った。
「それでは、私はこれで…」
もっとゆっくりとしてゆきなさいと
浅香が引き留めたが
圭子は「私、これからバイトに行かなきゃ」と
固辞してそそくさに席を立った。
「待って!
うちの車で送らせるから」
そう言うとメイドが「お坊っちゃま…安田は旦那様達を迎えに空港に出向いております」と告げた。
「そうか!今朝は親父達が帰ってくるんだったね
じゃあ、タクシーを…」
浅香はそう言ってくれたが
なんだか居心地の悪いお屋敷だったので
「いえ、ほんとに大丈夫ですから…それに、歩く方が運動になっていいんです」とそそくさに帰ろうとした。
圭子、浅香、メイドの三人が玄関を出たタイミングで
一台の黒塗りのベンツが玄関前に横付けされた。
「丁度いい、親父達のご帰還だ」
ベンツから降り立ったのは
品の良いお似合いの熟年カップルだった。
「丁度いい、紹介するよ
うちの親父…つまり、弊社の社長とお袋だ」
唐突のご対面に圭子は慌てふためいた。
「おや、こんな早くから来客かね?」
「お初にお目にかかります
御社の提供を受けて番組を制作しているテレビ局の者です」と
名刺を持っていないので、取り急ぎ自己紹介をして
ペコリとお辞儀をした。
ふう~んと、まるで興味がなさそうに圭子を一瞥すると
「そういったことは息子に任せてあるから」と
挨拶もそこそこに屋敷の中に消えた。