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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第7章 視聴率ダウン

瑠璃子が夫人会へ、準が会社に出勤すると
当然の事ながら屋敷には久とメイドの幸恵の二人っきりになる。

「旦那様、お疲れでございましょう?
お風呂にでもお入りになりますか?
きっと帰ってくれば入浴されるかと思ってお風呂の用意は済ませてございます」

トランクの荷ほどきをしながら
幸恵はそう言ってくれた。

「お前、ここに来て何年になる?」

腰をかがめて旅行中にため込んだ下着類を
ランドリーバッグに放り込む幸恵の尻を眺めながら
久は、ふと何気なくそう尋ねてみた。

「あの時…私が橋から身を投げようとしたのを助けて頂いてからお世話になっておりますので、かれこれ25年になりますわ」

そうか…もうそんなに月日が流れたか…
思えば、この女は自分達のために尽くしてくれたものだ。
ここに住まわせて衣食住の心配はないとはいえ、
ほんの小遣い程度の給金で働いてくれる女など
どこをどう探しても見つかるまい。

ずっと屋敷の中で働いているのだ。
男を作る暇さえなかったであろう。
25年間、浅香家はこの女を束縛してきたようなものだ。

「お前も人並みに男と所帯を持って
子供も産みたかったろうに…」

「いやですわ旦那様、
私には旦那様をはじめ、奥さまやお坊っちゃまという素敵な家族がいるのも同然なのですから…
それに、あの日、私の命は終わったものと思えば幸せすぎるぐらいでございます」

女が熟れて脂の乗りきっている時間を捧げてくれたのだ。
久は申し訳ない気持ちでいたたまれなくなった。

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