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結子の場合
第3章 告白の後
告白のあと、由悠季と私の関係は微妙に変化した。
由悠季が行きたいと言った女装用品の専門店(そういうのがあるのを初めて知った)、に一緒に行き、服を選ぶのを手伝った。
由悠季がまじめな顔をして試着する様子がおかしかったが、頬を紅潮させている由悠季をみて、男の人に対して初めて「かわいい」と思った。

決定的だったのは由悠季が「女物の下着」ーパンティーを履きたいと言ったときだった。
わざわざホテルに部屋を取って、下着を含めたすべての服を着て女装した由悠季。私はちょっとしたいたずら心で、「このまま外に出てみよう」と言った。
夕方、冬の街はすでに薄暗くなっていたし、サングラスを掛けて、マスクをすればちょっと大柄な女性に見えなくもない。
手袋もつけさせれば手元でバレる可能性も低くなる。

それになにより、頬を紅潮させ、興奮している由悠季をもっと刺激してみたくなったのだ。いいや、いじめてみたくなったのだ。

外に出ようという誘いに、最初は抵抗を示した由悠季を、あれこれ言いくるめて外に連れだすことができた。
慣れないうちは私もおっかなびっくりで、街のできるだけ薄暗いところを歩いていた。女同士だから腕を組んでいても不自然じゃない。しかし、人とすれ違うたびにかすかにびくっと肩を震わせる由悠季の様子が、次第に私の嗜虐心を明確なものにし、私はいやがおうにもこのシチュエーションを楽しんでいる自分を認めざるを得なかった。

私も興奮していたのだった。

私よりやや背の高い由悠季のマスク越し呼吸が荒く、熱くなっているのを感じる。
私は夕闇が深くなった公園のベンチに由悠季を座らせた。そして、耳元でいう。
「ちょっとまっててね。飲み物を買ってくるから・・・」
由悠季は顔を上げて私を見つめた。「行かないでほしい」と思っているのは明確だった。
由悠季コートの合わせをぐっと握って掻き抱く。その手が震えていることに、私は密かな満足を覚えた。
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