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あかりのセックスボランティア
第2章 2 正常な側の存在
 駅から歩いて10分ほどの所にある古びたマンションのドアを叩くと、私の人生で一番大切な人が私を出迎えてくれます。

「おかえりなさい、おねえちゃん。きょうはかいものにいってえいごをべんきょうしました」
「ただいま。ヒカルちゃん、ちゃんと買い出しに行ってくれてありがとう。今日はどんな英語を勉強したの?」
「じせいのいっちをべんきょうしました。あい・そーと・しー・わず・あん・あくとれす……」
「流石はヒカルちゃん、もうそんな所まで覚えたのね。後で一緒に復習しましょうね」

 ヒカルちゃんは私の3歳下の弟で、今年でもう20歳になりますが彼の心は小学校低学年の頃に閉じ込められてしまっています。

 私はヒカルちゃんを支えるために成人してからずっと風俗で働いていて、仕事がない時はヒカルちゃんと一緒に英語を勉強しています。

 狭いキッチンでささやかな夕ご飯を作ると、私はヒカルちゃんと2人で冷凍豚バラ肉を使った野菜炒めを食べました。


 私が一人でお風呂に入っている間に、ヒカルちゃんは昼間に買っておいた氷パックの封を切っていつもの作業をします。

 お風呂から出てくるとヒカルちゃんの両手は氷に触れてかじかんでいて、私は早くお湯で温めましょうと言って彼をお風呂に入らせます。


 それから私が小さな液晶モニターにつないでいる家庭用ゲーム機で趣味のゲームを楽しんでいると、お風呂から出てきたヒカルちゃんも隣に来て一緒にゲームをしました。

 私の人生で一番幸せなのは、ヒカルちゃんと2人で黙ってゲームをしている時だと思います。

 途中で一緒に英語を勉強してから再び2人で別のゲームを遊び、最近は家を建てるゲームに夢中のヒカルちゃんを私は偉い偉いと褒めてあげました。
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