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♥crack an APPLE♥
第2章 光の見えない籠の中で甘い唄を
唇を離すと秋埜は巴月を見下ろし、笑った。

僅か血のついた自らの唇を舐める仕草に、巴月は目眩を覚えて目を逸らす。



「あ……やだ……」



秋埜が巴月のシャツに手をかけた。

ボタンを外そうとしたその手を巴月が退けようとすると、秋埜は黙ってその手を払う。

巴月はなぜかそれ以上抵抗する気がなくなって、ただ、自分が脱がされていく様子をぼんやりと見つめていた。



ゆっくりとシャツがはだけてゆく。

顕になった肌を空気が撫ぜ、微かに涼しい。

激しく上下する自分の胸を見て、恥ずかしくなって巴月は目を閉じた。



「綺麗な体してんじゃん」

「み、ないで……」

「何言ってんだよ。これから何するかわかってんだろ」

「……っ」



息を飲んだ巴月を無視して、秋埜は巴月のブラジャーをずり上げた。

溢れたふくらみはふるりと揺れて、巴月は小さな声を漏らす。



「触られたこと……ないか。キスも初めてだったんだもんな」

「……うる、さい……」

「俺が初体験でいいの? 他の男とはもうセックスできなくなるかもしれないぜ」

「なにそれ……」



他の男、そう言われて無意識に水望の顔を思い浮かべれる。

セックスしたい、なんてそんなこと思っていたわけではないけれど、いざそう言われると「嫌だ」と思ってしまう。

何を考えているんだろう、そう思って巴月は顔を赤らめた。



「べつに。難しい意味じゃねぇよ。俺に抱かれたら他の男じゃ物足りなくなるってことだ」

「……意味わかんない……」



自信満々に言い切る秋埜の瞳に、ゾクゾクした。

一体自分はどうされてしまうんだろう。

そう考えたところで巴月はハッとする。



いつの間にか、秋埜のことを受け入れようとしている。


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