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♥crack an APPLE♥
第3章 優しさで愛する人を救うことなどできない
「あぁー、で? もっと上級の退魔術を教えてほしいって?」

「……はい、お願いします」



この日は巴月とのエクソシストの修行は休みにした。

というより、一週間ほどの長い休暇をとらせてもらった。

それというのも、水望が個人的にやりたいことがあったからである。



水望は今、自分の家からは遠く離れた小さな村に来ていた。

ここには、水望の師・炬(かがり)が住んでいて、水望は彼のもとを訪れていたのだった。



炬は世界でもトップクラスにはいる偉大なエクソシストである。

水望もそこそこに有名なエクソシストではあるが、彼には到底及ばなかった。

水望はそんな彼に、ひとつ頼みをしに来たのである。

そして冒頭に戻るのだが。



「おめーには十分教えただろ。教えられるもんは全部教えたつもりだぜ? 噂聞いているぞー、おまえかなり腕がたつってな。師匠として鼻が高いわ」

「まだ……先生の域には全然達していないじゃないですか……! 実際に、僕はまだ先生の退魔術ほど強いものを使えません……! 先生……僕はもっと強くなりたいんです。お願いします……!」



炬はいまひとつ良い反応をしない。

しかし、炬は「教えられるものは全部教えた」と言っているが実際にはそうでないことを水望はしっている。

修行時代に彼が自分の知らない退魔術を使っているのを、この目で見ているのだ。

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