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♥crack an APPLE♥
第3章 優しさで愛する人を救うことなどできない
「おまえには資格がない。……おまえは、『ソレ』を知りたい理由を『守りたい人がいるから』と答えた。それじゃあだめなんだ。そんな答えを返すおまえに『コレ』を教えるわけにはいかない。――それは俺がおまえを大切に想っているからだ」
「……先生!? さっきからどうしてはっきりと言ってくれないんですか!? 教えてください……僕には何が足りないんですか!? 『ソレ』を知るための資格ってなんですか!?」
「それはおまえ自身でみつけるんだ水望! 俺が教えることじゃない。もしも……その答えをおまえ自身でみつけたら……みつけてしまったら、もう一度俺のところにくるといい。そのときは『ソレ』を教えてやるよ」
「……っ」
タバコの煙が鬱陶しいと感じた。
頭の中でガンガンと何かが鳴り響く。
何が足りない。
僕はどうして先生に教えてもらえない?
わからない。
彼女を守りたいという気持ちは、きっとなによりも強いはずなのに。
どうして、それじゃあいけないのか。
「……失礼します」
それ以上何も言うことができずに、水望は炬に踵をかえしそこから出ていこうとした。
扉に手をかけたところで、炬がポツリと言う。
「水望……おまえは、おまえのままでいてくれよ……」
聞こえないフリをした。
水望は、そのまま振り返ることなくそこを出て行った。
「……先生!? さっきからどうしてはっきりと言ってくれないんですか!? 教えてください……僕には何が足りないんですか!? 『ソレ』を知るための資格ってなんですか!?」
「それはおまえ自身でみつけるんだ水望! 俺が教えることじゃない。もしも……その答えをおまえ自身でみつけたら……みつけてしまったら、もう一度俺のところにくるといい。そのときは『ソレ』を教えてやるよ」
「……っ」
タバコの煙が鬱陶しいと感じた。
頭の中でガンガンと何かが鳴り響く。
何が足りない。
僕はどうして先生に教えてもらえない?
わからない。
彼女を守りたいという気持ちは、きっとなによりも強いはずなのに。
どうして、それじゃあいけないのか。
「……失礼します」
それ以上何も言うことができずに、水望は炬に踵をかえしそこから出ていこうとした。
扉に手をかけたところで、炬がポツリと言う。
「水望……おまえは、おまえのままでいてくれよ……」
聞こえないフリをした。
水望は、そのまま振り返ることなくそこを出て行った。