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♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
恋をしているのかもしれない。
今の関係を壊したくないからそんな気持ちを忘れようと思っても、うたた寝をしたときにふっと彼女の夢をみて、ああ、やっぱり好きだなって、そう思う。
夢の中の彼女は笑っている。
まるで、いつも僕に向けてくれているその笑顔のように。
いつも、いつもみているというのに、どうやら僕は現実のそれだけでは満足していないらしい。
笑っている彼女の顔が、ほんとうに好きだった。
昼下がり。
部屋に香るアールグレイがまた夢のなかへといざなってゆく。
もしもまどろみへ身を任せれば、また彼女の笑っている姿を見ることができるだろうか。
夢なんて一瞬の幻を頼りにしてしまっているなんて、どうやら僕は重症らしい。