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♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
――――――
―――
―……
「あ、あの! 私を弟子にしてください!」
今から約半年ほど前のことだろうか。
水望は魔物に襲われている少女を気まぐれに助けてあげた。
腰を抜かして半べそをかいていた彼女に水望が手を差し伸べてやると、彼女はその手を取ることなく泣きながら抱きついてきた。
よっぽど怖かったんだな、と水望はとくにそんな彼女に引くこともなく、背中をさすってやった。
たしかそれは冬も近い秋の寒い夜だったと思う。
ずっと外でそうしていても体を冷やしてしまうと思い、水望は少女を自分の家へ招待してみた。
そうすれば彼女はこくこくと頷いて水望の肩を借りて立ち上がる。
こうして魔物に襲われた人が、助けてあげたあとに縋り付いてくることなんて珍しいことでもなんでもなく、そのときの水望はこの行動について特別何かを思っていたわけではなかった。
それは、きっと少女も同じだろう。
涙でぐしゃぐしゃになったその瞳に、水望の顔はきっとはっきりとは映っていない。
手を取って、肩を抱いて。
二人はゆっくりと、そのときに向かって歩いていった。
―――
―……
「あ、あの! 私を弟子にしてください!」
今から約半年ほど前のことだろうか。
水望は魔物に襲われている少女を気まぐれに助けてあげた。
腰を抜かして半べそをかいていた彼女に水望が手を差し伸べてやると、彼女はその手を取ることなく泣きながら抱きついてきた。
よっぽど怖かったんだな、と水望はとくにそんな彼女に引くこともなく、背中をさすってやった。
たしかそれは冬も近い秋の寒い夜だったと思う。
ずっと外でそうしていても体を冷やしてしまうと思い、水望は少女を自分の家へ招待してみた。
そうすれば彼女はこくこくと頷いて水望の肩を借りて立ち上がる。
こうして魔物に襲われた人が、助けてあげたあとに縋り付いてくることなんて珍しいことでもなんでもなく、そのときの水望はこの行動について特別何かを思っていたわけではなかった。
それは、きっと少女も同じだろう。
涙でぐしゃぐしゃになったその瞳に、水望の顔はきっとはっきりとは映っていない。
手を取って、肩を抱いて。
二人はゆっくりと、そのときに向かって歩いていった。