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♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
「……」



その瞳には。

少女がもつにはあまりにも悲しい光。

そこに映る自分の姿。



一体僕は彼女にとってどう見えているのだろうか。




「……じゃあ。教えて欲しい。君のことを、僕に教えて」

「……はい」



ただ偶然命を救ったエクソシストを、まさか運命の人だとでも思っているのだろうか。

君をその闇から救えるとでも思っているのだろうか。



僕は、退魔術を少し他の人よりも知っているだけのただの男だというのに。




……そう、ただの、男だ。



「私の兄……魔物との子供をつくったんです」

「……は?」

「つくれるらしいですよ。ちゃんと相手が雌ならば」

「……それは、魔物に襲われて無理やり、ってこと?」

「いいえ。兄はその魔物を愛していました。……ちなみに見た目は人間からはかけ離れた、本当に「魔物」って感じの容姿です」



途方も無いようなその物語は、とてもじゃないがただの男には書き換えることはできない。

正直彼女が忌み嫌われる理由について納得してしまった。



「……化物との間に子供をつくったなんて……狂っているって、そう言われました。そしてその妹である私も、狂っているって……」



水望は特に偏見をもつことはなかったが……村の人々が彼女とその兄を気味悪がるのを咎めることはできないと思った。

人間、あまりにも理解できない相手に対して恐怖を抱くのは、当然の心理だからだ。

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