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♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
「……っ」

「……どう?」

「……あ、あったかい、です……」

「……うん」

「あったかい……あったかいです……」



巴月はゆっくりと、手のひらをひっくり返して水望の手を握る。

震えるその手は、弱々しく。



なぜか、水望はその動作を食い入るように見つめていた。



やがて、巴月はもう片方の手で目元を抑えた。

そして……静かに嗚咽をあげ始めた。



「家族にも……そんなに触れたことは、なかったんです」

「……そうなの?」

「ちょっと、淡白な人たちだったから……だから……いつぶりかな……こうして、人に触れるの……」



頬に、涙が伝う。



手のひらのぬくもりが。

まるで凍りついた心を溶かして、そしてそれが瞳からこぼれ落ちて。

熱い、熱い雫となって少女の頬を濡らすのだろうか。



少女は、泣いていた。



――こんなことで、泣いてしまうんだ。




俯く巴月を見つめ、水望は思う。

脆い。

なんて、この少女は脆いのだろう。

この少女を、世界に放り出したのなら、すぐに壊れてしまうのではないか。

きっと孤独は……彼女を殺してしまうだろう。



「……っ、みな、み……さん?」



――もしも、僕が彼女を守れたのなら。



その衝動を抑えはしなかった。

気付けば動いていた体を止めなかった。



水望は、巴月をそっと抱き寄せた。




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