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♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
「……人は……きっと君が思っている以上に怖いと思う」

「……?」

「……そして、君が思っている以上に、優しいよ」

「……、」



巴月の息を呑む音。

ぴくりと動いたその細い体を、この腕で抱きしめる。



「……で、も……私、怖いです……人と接するのが……怖いです」

「……少しずつでいい。一人で生きていくことなんて、できないんだ。……僕が最後なんて言わないで。もっとたくさんの人に触れないと」

「……でも、でも……どうしたらいいんですか……私、人との接し方がわからないのに……」

「……じゃあ」



これは、お節介というものだろうか。

ただなんとなく救った少女にすることにしては行き過ぎていないだろうか。

唇からこぼれ落ちる言葉は脳を介していない。

気付けばポロポロと飛び出してゆく。



「……しばらく、僕と一緒にいようか?」



……たぶん「お節介」なんかじゃない。

だってこれは、きっと。

彼女を想って言ったというよりも……



僕がこうしたいと、そう思って言ったことだから。


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