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♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
食器を洗う。
二人で並んで立つには少し狭い洗い場。
水望が流してくれた食器を受け取って、巴月は丁寧に拭いた。
「あ……」
一瞬、指先がぶつかる。
巴月はなぜか妙にその感覚を強く感じて、びくりと身体を揺らす。
……今の反応は変だったかな。
水望は何食わぬ顔で洗い物を続けている。
彼の表情を伺いみるようにじっと見つめていれば、彼は巴月の視線に気付いて「何?」と聞いてくる。
「なんでもないです」って慌てて言ってみれば、「そっか」って笑って返してくれる。
「……っ」
その笑顔を見た瞬間、顔が熱くなるのを感じた。
咄嗟に俯いて、髪で顔を隠す。
だって、だって、変だもん。
人の顔をみて顔を赤くするのなんて、変だもん……。
触れた指の先。
そこだけが、熱い。