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♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
***
水望のことを好きだと自覚してから、毎日のように夢をみる。
魔物から助けてくれた水望。
ほんとうに、ほんとうに眩しくて。
あれ、この世界ってこんなに綺麗だったっけ。
そんなことを思うくらいに。
たぶん一生、あの時のことを忘れない。
だから、巴月は水望の夢を見るのかもしれない。
「み、水望さん……」
「ん?」
「あ、いえ……名前、呼んでみたかっただけです」
「……そう」
今、巴月の心臓は爆発しそうなくらいに高鳴っていた。
二人でソファに座ってお茶を飲んでゆっくりしていて、なんとなく肩が触れ合って、そして恐る恐る寄りかかってみたら、水望が肩を抱いてきたのである。
その流れでとん、と頭を水望の肩に乗せてみれば、すごく居心地がよくて、巴月は思わず全身をそのまま水望にあずけてしまった。
仄かに鼻を掠める水望の匂いが胸を締め付ける。
ほんのり感じる彼の体温が、気持ちいい。
夢を見る。
眩しいこの人の夢を。
そして今自分は、こんなにも近くにこの人を感じている。