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♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
「水望さん……私、これからもずっと水望さんの側にいてもいいですか?」
「……、うん、……ずっと、いてほしい」
「……本当ですか……! 嬉しい……水望さん、私、嬉しいです、本当に、嬉しいです……!」
はらはらと、涙がこぼれ落ちる。
涙に歪む視界で、水望が今にも泣き出しそうな笑顔を浮かべている。
それをみた巴月の胸は、締め付けられるほどに甘い苦しみで満たされた。
「……水望さん。私、水望さんに相応しい人になりたいです」
「相応しい……?」
「水望さんはとってもすごい人で……皆から尊敬されているじゃないですか。だから……側にいる私は、このままじゃだめだって、そう思うんです」
私の暗闇を開いた人。
あの瞬間。
頭に焼き付いて消えない光。
あの光は強くて、眩しくて、今こんなに近くにいる人が、なぜか遠くに感じてしまう。
すこしでも近づけたら。
もっと、この人に愛されることができるかもしれない。