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♥crack an APPLE♥
第6章 さあさあご覧になって
「あ、きの……あきの……」
ひどく、安心した。
男の手を掴む秋埜の姿が、恐ろしく眩しく見えた。
勝手に唇からこぼれてくる彼に縋り付くような声。
恐怖の涙はいつの間にか緊張が取れたときのような、そんな気の抜けた涙になっていた。
「独り占めはよくないですよ。そろそろ交代しないとね」
「え……」
「さあ、お次は~! はい、そこのレディ! ピンクのルージュが魅力的な貴女!」
ソコに触るのだけは止めてくれた。
それは巴月の勘違いだったらしい。
秋埜は男をステージから降ろすと、次は白いドレスを着た女を呼び出した。
なぜか勝手に裏切られたような気分になって、巴月の中にモヤモヤと霧がかかってゆく。
……元々、秋埜は自分の味方なんかじゃないというのに。
「それではレディ。そこの箱を開けて見てください」
秋埜はわざとらしく女に投げキッスをする。
荒んだ目で睨みつけてくる巴月の視線になど御構い無しだ。
「まあ、これを好きに使ってよろしいの?」
「ええ、レディのお好きなように!」
女は箱の中身をみて、嬉しそうな声をあげた。
何がはいっているのだと体をよじって中身を覗き見た巴月は、ひっ、と息をのむ。
「やだ、秋埜、とめて……、」
箱に入っていたのは、色とりどりの玩具。
所謂バイブレータ、ディルド、ローター、その他もろもろ。
それぞれのサイズは本当にそんなものが入るのかというくらい太く、長い。
恐怖を覚えるほどにデコボコとしたものや、すでにスイッチが入ってしまっているものはまるで生き物のようにぐりんぐりんと蠢いていた。