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わたしの彼は 甘くて強引
第9章 紳士な意地悪は如何ですか?

男たちがアパートを出て車に乗り込み、慌ただしく立ち去っていくのを上から見届ける。
――――
その車が見えなくなると、翔は自分の腕の中で顔を赤らめた多恵に目を遣り、
そしてハンカチを差し出した。
「……?…これ…」
「唇…、拭いていいですよ」
「…っ…///」
翔は彼女の肩をぱっと離した。
「突然に失礼なことをしてすみません、多恵さん。でもあの方法が一番手っ取り早い」
「はぁ…」
「ああいう連中に限って、案外小心者が多いんです。…この気まずさに耐えられなかったようですね」
翔は愉快気にフッっと笑ってみせる
「ハハ…そうでしたね」
そんな彼を見ながら、どこか夢見心地な多恵はつられて微笑んでいた。
「――…」
でも、自分まで一緒に騙されるところだったわ。
この…
悪い人間から私を助けてくれたかと思えば
そのすぐ後に少し悪戯っぽく笑ってみせる
この魅力的な青年に――

