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わたしの彼は 甘くて強引
第10章 大切な人



「――…また今日も機嫌が悪そうだね、市ノ瀬。柚子ちゃんと喧嘩でもしたのかい」


「ふん、お前には関係ない」


「…愛想のなさも相変わらずだね」



入り口付近でいがみ合う二人



柚子はそちらが気になりながらも、その声を父親に向けた。



「もう!!来るなら早めに言ってくれれば良かったのに…」


「お前を驚かそうと思ったんだ、柚子。だがまさか今日がバイト休みだとは考えなくてな……」


娘に怒られて、どことな~く
嬉しそうなその顔


「ひとりで来たの?お母さんは?」

「母さんは友達と温泉に行ったから、ちょうど父さんは留守番していたんだ。だからお前の働きぶりを見に…――」

「それだけのためにわざわざ来ちゃったの? 新幹線代が勿体無いじゃない」


「……シュン」


どうやら、矢崎家は女の方が立場が強いようだ。



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