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わたしの彼は 甘くて強引
第10章 大切な人


二人はまた歩き出した。

ポケットに手を入れた匠の腕に柚子は手を添える。



「…ねぇ、匠さん」


「……何だ?」


「匠さんのお母さんはどんな人ですか?」


柚子は匠の顔を見上げて、彼に笑顔を向けた。



「お袋は…なにかと口うるさい奴だった。あまり覚えていないが」


「――!? もしかしてずっとお母さんに会ってないんですか!?」


「…っ…まぁな」




匠は大学に通うために家を出た。

それから何の連絡もないまま、大学に通う4年間、大量の仕送りだけが毎月振り込まれていた。



「金だけは渡すから、もう二度と家には関わるなってことだろう」


「ちょっ…そんな訳ないでしょう!?」


「――…ッ」


珍しく柚子に怒鳴られて

匠は目を丸くする。



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