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わたしの彼は 甘くて強引
第10章 大切な人

「そんな…っ…たったひとりの息子に帰ってきて欲しくない母親なんて…!! いるわけない…!!」
「……っ」
「自分の母親も大事にできない…そんな薄情な人、わたし嫌いですからっ!!」
柚子の顔から笑顔は消え――
目を逸らす匠を真正面から見上げた。
「……匠さん」
「…っ…!」
「明日、会いに行きましょう」
「なッ…明日…!?」
《嫌いですから》
彼女のその言葉がこたえた匠
彼はいつになく怒った柚子に何も言い返すことができずに、黙って彼女を見つめ返した。
「…きっと待ってますよ」
「……」
「匠さんの顔見たら、それだけで喜んでくれます」
「…わかった…っ…!!
…行けばいいんだろう」
「クスッ……はい」
ぷいっとそっぽを向いた彼の横顔を見て、怒っていた筈の柚子はクスリと笑う。
“今の笑い方……茶髪に似てきたな…”
横目で盗み見た匠は心の中でさらに悪態をついた。

