この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わたしの彼は 甘くて強引
第4章 犬猿の仲

「ふふっ…」
「何が可笑しい…!!」
「いや…別に」
そう言って真正面の匠の顔にチラリと目をやり、
翔はくっと笑いをかみ殺す
「…よくそんな、無表情でいられるなと思ってね」
「…は?どういう意味だ」
「文字通りだよ」
「…なに…!?」
「――…!」
二人の周りで空気の重みが変わるのを肌で感じながら、柚子はひやひやして見守っていた。
匠さんは…Sな筈だ
でもこうして見ていると…
どこか先輩も負けていないように思えるのは気のせいだろうか
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」
「え!?…あ、注文ですねっ」
若い女の店員が来ると、柚子は救われたようにメニューを眺め始める
「俺は珈琲で」
「わたしは紅茶に…しようかな。――匠さんは?」
「…いらん」
ぶっきらぼうに言い捨てた匠にぎょっとした柚子
「匠さん!何も頼まないのは失礼ですよっ?」
「・・・・」
「…あ…っ、ご注文がないようでしたら、以上で宜しいですか?」
「でも…っ」
なんとなく申し訳ない
そこで、翔が店員に笑顔で声をかけた。
「…すまないね。注文はそのふたつだ」
ニコッ
「……ッ///」
――…あっ!!
今絶対、先輩の笑顔が店員さんの胸をズキューンだったわ
「…で…では、ご注文を確認します…っ…。珈琲が一点、…こ、紅茶が…」
うぅっ、頑張って!
柚子は心の中でその若い店員に声援を送っていた。

