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わたしの彼は 甘くて強引
第4章 犬猿の仲

「車などきていないだろう」
腕を掴まれた匠は面倒臭そうに彼女を見下ろした。
「…だけど信号が…」
「バカ正直に守る意味があるのか?信号は守るためのものではない、…事故を防ぐためのものだろう」
「……っ」
「車がいないと判断できる時に…わざわざ止まる必要などない」
「…む」
確かに、車が通る気配はない
柚子は返しに口ごもった。
「――じゃあ聞くけど」
隣の翔が、不意に彼女の加勢にはいる
「信号無視で事故にあった歩行者のうち……、いったい何人が、車がきているとわかった上で敢えて飛び出したって言うんだい?」
「……」
「人の判断は時として信用できない。…やはり信号は、守るためのものだと思うけど?」
「黙れ茶髪…」
ものすごい目で先輩を睨んだ匠さん
「…あッ!! 青になりましたっ」
わたしは匠さんの腕を掴んだまま、半ば強引に引っ張っていった。

