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わたしの彼は 甘くて強引
第5章 夕暮れの河川敷

赤い半ズボンから出ている短い足――
見ると確かに、擦りむいた膝がズボンと同じ色になっている。
それを視界に入れた女の子は
いよいよ本格的に泣き始めた。
わんわん声をあげて涙を流しながら、時折「痛い」と訴えてくる…
予想以上の泣きっぷり
翔は困った顔で
はにかむように笑い
ひとしきり泣き終わるまで黙って横に座っていた。
―――――
「…っ…グスッ…ッ…」
「…お家は…ここから近いのかい?」
「うん…っ」
「――…送ってあげよう」
このまま立ち去るのはやはり気懸かり――
翔はハンカチで傷口の血をそっと拭うと、ランドセルを肩に引っ掛けて少女に背を向けた。
「……グスッ…ありが…とう」
少女が彼の背中にピタリとくっつくのを確認し
翔は彼女をおぶって立ち上がる。

