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わたしの彼は 甘くて強引
第5章 夕暮れの河川敷


二人の影が、河川敷沿いに長く伸びる――


「君の名前を教えてくれる?」


彼女を背負って歩きながら、翔は柔らかく尋ねる


「……さはら…ようこ、……6才ですっ」


泣きすぎて掠れた声で、それでもはっきり答えたその子供


「…陽子ちゃんか」


律儀に年まで答えた陽子は、ずり落ちないように手を翔の首に回した。




「お兄さんの、名前は、何ですか」


一語一語を区切りながらの尋ね方……

翔も同じ様に返す。



「…お兄さんの名前は、三上…翔、…です」


「…しょー?」


陽子は彼の名前を繰り返す



「そうだよ」

「…しょー…、ふふ♪」

「――…」

「…翔兄ちゃん、しょーお兄ちゃん。……ふふっ」



いったい何がそんなに気に入ったのか…


痛がっていた筈の足をパタパタ動かしながら、陽子は嬉しそうに唱えていた。




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