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わたしの彼は 甘くて強引
第5章 夕暮れの河川敷

「ようこが転んで…お兄さんがおんぶしてくれて…――」
陽子が順に説明していくのを聞くうちに、不安げだった母親の顔がようやくもとにもどっていく。
御礼を言わないと…
母親は翔のほうへ駆け寄った。
「…行きずりの方に、娘がこんなに世話をかけてしまいまして…っ」
「…仕方がありません。こんな場所に幼い子供を…、独りで待たせるわけにいきませんから」
「…っ…」
笑顔を浮かべて礼を言った母親だったが、翔は少し冷たく突き放した。
「何故彼女を家に入れないのです?」
「それは…」
「――…怖い人がいるから?」
「……!」
陽子が先ほど言った言葉を翔が繰り返すと、母親はどきりと言葉を詰まらす。
彼はもう一度尋ねた
「…何か事情がありそうですね」
今度は若干…
優しい声色で
「…はい」
「警察に追われているとか」
「ちッ…違います!」
翔の冗談を真に受けた彼女は声を荒げた。

