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わたしの彼は 甘くて強引
第6章 悪い男

――――
ありゃあ怒ってるな、翔
栄作がぼそりと呟いたのを聞いて、柚子は顔をそちらに向ける。
「やっぱり…怒ってるんでしょうか」
珍しいと思った。
「あいつは昔から、自分に厳しく…同時に人にも厳しい子供だった」
「……」
「ストレートな駄目だしが、よく周りの人間を傷つけたものだ」
「先輩が…?」
絵本に興味を示した陽子をソファーに座らせながら、柚子は彼の話に首を傾げる。
だが高校の時期から翔は変わったのだと
栄作はそう続けた。
「もともと頭の良い子だったからね。…相手がどんな言葉を望んでいるのかを考え、翔は言動を改め始めた」
そうなってから
彼には友人も増え、周りから慕われ、結果的に彼の発言力は強まっていったという。
だがある日、翔の父親が…
栄作に困った顔で相談してきた。
『――…聞いてくれ栄作。
私のとこの翔が、笑いながらこう言ってきたんだ。
《俺の優しさは上辺だけの作り物だ。俺は偽善の塊なんだよ、…父さん》
……………とな。
まだひよっこの高校生のくせに困ったものだ……』

