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わたしの彼は 甘くて強引
第6章 悪い男

―――――
翔は部屋の扉を開けて中に入る。
そして後から追ってきた多恵も続いて入ると、彼は扉を閉めた。
「――…単刀直入に、失礼なことを言いますが」
彼はいたって丁寧な口調で話を切り出す。
「これからずっと、こんなギリギリな生活を送るつもりですか?」
「…え…ッ!?」
「周りの人間…例えばご両親の助けを借りるのも、ひとつの手だと言っているのです」
「……!」
この人はまだ、自分自身が親になりきれていない
…同じような母親を、翔は今までにたくさん目にしてきた。
「…今回のことにしても、もし俺が現れなかったらどうするつもりだったんですか?」
「…それは……っ」
「俺がいつでもあなたの助けになれるわけじゃない…、だからこそ、親や兄弟に頼るのが一番です」
「……!」
翔は冷静に話を続けた。
今の彼は――
少し、昔の彼に戻っているようだった。
「…っ…」
そしてそのことには、彼自身も気付いていた。

