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わたしの彼は 甘くて強引
第7章 Dr.市ノ瀬

このドクターは今までに何度か会ったことがあった。
愛想よく、ふくよかな体型に似合った穏やかな話し方
だけれど研修医の教育は厳しいようで、よく匠と対峙していた。
「待ち人は市ノ瀬ですかな?」
「はい、そうです…っ」
匠さんは影でこの人を
"熊野郎"と呼ぶ…
まぁ確かに、ちょっぴり似てるけどっ
「あいつなら二階ですよ。上がって待ちましょう」
「…えッ…いいんですか?」
「わっはっは、矢崎さんは美人だからOKです」
「……」
…お茶目なおじさんよね
エレベーターで二人は二階に上がり、その医者はナースステーションに顔を突っ込んで聞いた。
「市ノ瀬はまだかぁ?」
「まだですー」
看護師たちが答える。
その時、背後の廊下から匠の名を呼ぶ声が聞こえ、
柚子たちは同時に振り返った。

