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わたしの彼は 甘くて強引
第7章 Dr.市ノ瀬


「市ノ瀬先生…っ…、235号室の河石さんが、最近気分がすぐれないと先生を呼んでいます」


曲がり角から現れた匠と看護師


「…気のせいだ」

匠は耳を貸さない

看護師は慌てていた。


「…あと近頃はお通じも悪いと不安になっていらして…」

「年のせいだ。婆さんだからしょうがない」


首にかけた聴診器を外しながら構わず廊下を歩いてくる



「でもですね…――ッ」

「…いいか?」

立ち止まった匠は看護師に向き合った。



「どのみち俺の勤務時間は終わった。俺は今急いでいるんだ…他の奴を連れていけ」


「……っ」


「――…匠さん」


「――…!?」



突然の柚子の声に、匠はようやく彼女の存在に気が付く。



「…柚子…!」

「わたしなら、今日は時間に余裕があるからまだまだ待てますよ」

「…っ…」

「……ね」

「……」


ニコッとした柚子を見て、彼は言葉をつまらせた。




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