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わたしの彼は 甘くて強引
第7章 Dr.市ノ瀬

「……でもそうでした。匠さんはもう…、不良じゃないですものね」
「――…そうだな」
柚子が握ったむすびを口に運びながら、匠は笑顔の彼女に向かって小さく笑ってみせた――
―――――
そして匠によって弁当が空にされたころ
「見て下さいっ…杏仁豆腐を作ってきたんですよっ」
柚子が保冷剤と一緒に取り出したふたつのカップ
「とっておきとはこれのことか…」
「今日はデザート付きです。まだ冷たいからどうぞ」
「……」
「結構自信作です」
「…ああ、旨そうだ」
…匠は結局、柚子と出会ってから一度も伝えられていない。
実は自分は、甘いものが苦手だという事実を――。

