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わたしの彼は 甘くて強引
第8章 油断の代償

「……!!」

それは随分と昔の記事だ

「何ですか?これ…!!」

「僕の知り合いに出版関連の奴がいてねー。特別に貸してもらったんだ」


柚子の反応を待つかのように、男は彼女の顔を覗き込んでいる。



「この、市ノ瀬総一郎の息子……少年Tって、あいつのことだろ?」


「――…!!」



その記事は確かに、匠さんのお父さんの事件に付随して書かれたものに違いない。

だがその内容は明らかに、匠さん自身について書かれている。


「ガラの悪い奴だと思ってたけど…なる程、不良グループのお山の大将だったか…」



中学校では毎日のように暴力沙汰

近所の人々にも怖がられ――



「…週刊誌なんて、好き放題に書き立てるものです…!!」


「本当は、ここに書かれてる以上の事もしてきたんじゃないのか?」


「え…!?」


「…アッハハ、君は嘘が苦手なんだね。わかりやすいなぁ、図星かよ」


「……っ」



嘘がつけない…確かに。


「…わたしは…っ…詳しい事は知りません…!!」


彼が昔やってきたことは

きっと、ここに書かれているような事では足りない。


…それを知っているから


わたしにその過去を否定することは許されない。




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