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第8章 油断の代償

突然、おかしな状況に放り込まれた柚子

「得意の護身術はどうした？今は多少の技なら黙って受けてやろう」


逃げてみろと言いながら
腕を放す気配はない


「…そっ…んなこと言われても…!」


護身術なんていうものはそんなドラマなどで見るように万能なわけではなく、

特に彼女のような非力な女性が技をかけるには、相手が油断していること……

かつ隙があることが条件だ。


それが、この男に関しては…
隙などというものはどこかに捨ててきたに違いない。


柚子は試しに、彼の腕に両手を添えてみるが――

「……ｯ」

ダメだ…ビクともしない



「…逃げないつもりか？」


柚子がぐずぐずしていると、匠はその身体を自分に引き寄せた。


柚子は驚いて鞄を床に落とす