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君とメメント・モリ
第22章 終章
翼は漂いながら病室を出た。
すると病室のドアの前に、岸辺亘が立っていた。
髪の量はだいぶ減り、身体は一層小さくなっていた。杖をつき、病室の入り口からそっと凛を見つめている。
彼が落とした影に、翼は収まり、羽を得てばたつかせた。
黒いマントを羽織った死神の姿になり、岸辺亘の隣に立つ。
「やあ、五十年ぶりだね」
岸辺亘の声は変わらず、よく通った。まるで少年のような話しぶりも変わらない。
「岸辺さん、小さくなったな」
「ああ、君がのんびり漂っているこの五十年、僕は働き詰めさ。でももう僕も今日で晴れて引退だ」
「そうなのか」
「後継者がね、見つかったんだ」
病室で凛の手を取っていたショウという男が、岸辺に気づいて会釈をした。
「翼くん、僕がどうして死神の姿が見えるか知ってるかい」
岸辺は、凛に寄り添うショウを見つめたまま、翼に言った。
すると病室のドアの前に、岸辺亘が立っていた。
髪の量はだいぶ減り、身体は一層小さくなっていた。杖をつき、病室の入り口からそっと凛を見つめている。
彼が落とした影に、翼は収まり、羽を得てばたつかせた。
黒いマントを羽織った死神の姿になり、岸辺亘の隣に立つ。
「やあ、五十年ぶりだね」
岸辺亘の声は変わらず、よく通った。まるで少年のような話しぶりも変わらない。
「岸辺さん、小さくなったな」
「ああ、君がのんびり漂っているこの五十年、僕は働き詰めさ。でももう僕も今日で晴れて引退だ」
「そうなのか」
「後継者がね、見つかったんだ」
病室で凛の手を取っていたショウという男が、岸辺に気づいて会釈をした。
「翼くん、僕がどうして死神の姿が見えるか知ってるかい」
岸辺は、凛に寄り添うショウを見つめたまま、翼に言った。