この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君とメメント・モリ
第22章 終章
「なんか、偉い役職なんだろう」
岸辺は首を横に振った。
「偉いわけではなくて、僕はたまたま、死神でもあり人間でもあったんだ。だから両方の架け橋ができた」
「岸辺さん、俺が凛と温泉旅行に行ったとき、河原で話したね」
「ああ、そんなことがあったね」
「あのとき、俺に知らせるために来たんだろう?トンネルの崩落事故のこと」
「死神が人間を生かそうとするなんてどうかしている。でも君ならやるのだろうと思ったんだ」
岸辺はにっこりと笑った。
「死神と人間が愛し合うことも、まれにあるんだよ」
凛の傍らにいたショウが、立ち上がった。
彼女の額にキスをすると、岸辺と翼の方へと近づいて来る。
ショウはまっすぐに翼を見つめた。
彼には、翼の姿が見えている。翼はじっと体を動かせないまま息をひそめた。
「・・・見えるのか?」
翼がショウに尋ねた。
「見えます。前から、ずっと」
ショウはじっと翼の目を見たままうなずいた。