この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第8章 先斗町のお茶屋
大嶋が料亭の仲居を呼んで、
新聞紙を持って来させて。
舞妓さんが適当に
感覚を開いて新聞紙を3枚
畳の上に並べて行く。
『ほな…陣取りしますぇ…』
舞妓さんが2人ずつ1枚の
新聞の上に乗って見せてくれて。
陣取りのルールを私に
実演して見せてくれるらしい。
じゃんけんをして負けた方が
乗っている新聞紙を半分に折って
その上に乗るようだった。
負ければ負ける程…スペースが
小さくなって最後まで…
新聞の上に乗って居られた
ペアの勝利…になるのだそうだ…。
『俺…これ…得意やねん…』
『そうでっしゃろ…?
神室寺の旦那はん…と、
うちも…組みたかったわぁ~』
どうやら…舞妓さんの中でも
直哉様は…この遊びが得意らしくて
その界隈では有名なのだそうで…。
舞妓さんのデモンストレーションの後に
4組に分かれて…陣取り合戦が
始まった…訳なのだが…。
ある程度の…足場の狭さになると、
お互いの…身体をかなり密着させないと。
当然…そのスペースには…
立って居られない…訳で…。
お互いの身体を…ピッタリと
押し付け合う恰好…になる。
直哉様の…着物に焚き染められている
伽羅の香りが……鼻をくすぐって来る。
『そろそろ…足元狭ぅなってったなぁ…』
直哉が…この陣取りが…得意と
自慢げに言っていた理由を
私はこの後…知らされることになる。
じゃんけんに…負けて…、
今の足場が…半分のサイズに…。
もう…詰んだんじゃ…っと
そんな風に一花が
今のサイズの半分になった
新聞紙の陣地を見ていると。
人一人が足をくっつけて
やっと立てる位…しか無いのに。
隣の直哉は…涼しい顔をしている。
『そんな顔せんでも大丈夫やって、
こんなん…まだまだ余裕やん』