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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第9章 湯の花温泉
そう言って大浴場のある
1階にあるお食事処へと向かった。
和のテイストのある内装だが
テーブルと椅子になって居て。
全て個室になっているのだそうで。
ゆっくりと…自分達だけで
お食事を楽しむことが出来る。
テーブルに着くなり、
直哉は冷酒を注文していて。
京都の地酒を頼んだ様だった。
最初に出されたのは…
揚げごま豆腐で…
口の中で広がるゴマの香りと
お出汁の香りがどっちもいい香りで。
1口サイズ…なのが…勿体ないと
もっと食べたいと思ってしまう。
次に…運ばれて来たのは…
大きなガラスの皿の上に
これまた1口サイズの
まん丸のおにぎり?お寿司?
の上に…イクラとウニが乗っていて
その下に海苔が敷いてあって。
ガラスの器の端に桜の花が添えてある。
お米は丹波産のこしひかりなのだそうだ。
「んん~、美味しい…です…」
お昼に頂いたお料理も美味しかったけど、
知らない人が一緒だったから
緊張してしまって味が良く分からなかったし。
お米…って…こんなに美味しいんだって。
お米の違いを感じてしまいつつ、
口の中でウニイクラ丼状態で
自分の口の中が幸せな感じになってる。
この1口おにぎりの下にも
器があるのが見えて。
ガラスの器を持ち上げると。
津居山で水揚げされた
ズワイガニとうるいが姿を現した。
うるい…と言うのは…
春を代表する山菜で。
オオバギボウシと言う植物の新芽で
シャキシャキとした歯触りのいい
食感とヌルっとしたネギの様なヌメリがある。
『うるい…、美味いなぁ。
あの家の裏にも生えとるで?
酢味噌も美味いし、
胡麻和えにしてもええし。
天ぷらにしても酒のつまみにええしな』
その次に運ばれて来たのは
綺麗な漆塗りの汁椀に入った
春の魚である鯛と…九条ネギの真丈で
お上品なお出汁が…感動的な美味しさだ。
その後には…お造り
天ぷらと続いて
お口直しの冷たいお蕎麦は
お洒落なグラスに盛り付けてあった。