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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第2章 直哉様のお屋敷

『……ええやん…、
俺が思っとった通り
着物…似合うなぁ…自分…。
そないな所にいつまでも
つったっとらんと、こっちおいでぇな』

「お邪魔…致します…」

…と…その部屋に入ったのはいいが。

そこで…ある事に気が付いた。

この部屋には…座れる場所がない。

一花が…部屋の襖の側の…

畳の上に…立ち尽くしていると。

『何してんねんな…、そこやないで?
アンタの…場所は…ここやここ』

そう言って…胡坐をかいて
座って居る自分の片膝を
パンパンと…叩いてこちらに
ここに座る様に…と促して来る。

座ってしまって…良いのだろうか?
そんな…遠慮が…ありながらも
…この人が…ここに座れと言うなら、
私は…この人に従うしか
選択肢は…与えられて居ない訳で…。

「……失礼を…致します…直哉様」

座る様に…促された…、
膝の上に座ると…。
じっと…至近距離で…
直哉の視線が…こっちの顔に
注がれている事に…気が付いた…。

『……なんや…これから
夕飯…食う言うのに…綺麗に
紅…引いてもろたんやな』

そう言われてみれば…ご飯…

お夕飯…を…食べる位の時間なのか…。

通りで…お腹も空いている訳だ…。

『どうせ…飯食うんやったら…
折角…こない綺麗に紅
付けてても、みぃんな落ちてまうし…。
先に…落としてもーとこか…』

今から…食事を摂れば…、
折角引いて貰った口紅は
綺麗…に落ちて…食事が終わる頃には
何も無くなってしまうだろうけど。

ずいっと……直哉の顔が…
近付くのを…感じて…。

距離…近っ…と…思って居たら。

ピン…と…額をデコピンされてしまって。

「痛っ…、な…んで…イキナリ…」

デコピンを…されたのかと…
一花が直哉の理不尽な
その行動に恨めしい視線を向けた。



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