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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第2章 直哉様のお屋敷

『……さては…、自分
あれやな…?した事もなかったら、
キスも…未経験なんかいな?』

そう…こっちに…呆れたと
言いたげな…視線を向けて来て。

『それも…、アンタんとこの
パパとママの言いつけ…なん?
……今時…そないに、健気な子に
よぉ、育ったもんやなぁ…自分』

こっちが…何の事を言われているのか
直哉の言葉を理解する前に、
次から次に良く回る口で
べらべらと話を彼は続けていて。

ぐい―――と冷酒グラスの中の、
日本酒を…一気に直哉が飲み干した。

『ん』

それだけ言って、空になった
冷酒グラスを直哉が
こっちに差し出して来たので。

一花は…横の方に置かれていた
日本酒に瓶を手に取ると、
トクトクトク…と…新しい酒で
その手にあるグラスを満たした。

「どうぞ…」

『おおきに…、なんや…
自分…気ぃ…利くやんか…。
まぁ…そっちの作法は…、
経験無いんやから…知らんのは…
当然として…目ぇ瞑るわ…。
知らんねやったら、知らんで好都合』

知識として…キスとか…
その…セックスとか言うのが…、
どう言った行為…なのか…は
…その…ある程度は…知っているが…。

その行為…に…なる…流れ?とか
そう言うのは…教えて貰ってないから。

コトン…と…手に持っていた
グラスを…直哉がお盆の上に置くと。
スル…っと…直哉の指先が、
一花の頬を…撫でて行って。
そのまま…スッと…顎の下に添えられる。

『そっちの作法は…、俺が…
ぜぇーんぶ…、アンタに仕込んだるわ。
まぁ…、せや言うても。
俺の…好みに…しかしやへんけどな。
ほんなら…、一花ちゃん
教えたるから…、よぉ…憶えときや?』

顎の下に…添えられた指で
クイ…と顎を持ち上げられて
顔を…上に…向けさせられる。

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