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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第10章 京都水族館
魚とかには興味は無さそうな
直哉様だったけど、
ペンギン達のドロドロした複雑な
ペンギン関係には興味を示して居て。
昼ドラ並みのドロドロ相関図を
堪能した後は…その先へと進んで行く。
『お、なんや…でっかい水槽あるやん』
ペンギンのエリアの先の
建物の中に入ると、
今までの水槽とは大きさの違う
京都水族館のメインの水槽があって。
こちらに出っ張る様に湾曲した形をした
横幅は15メートル…高さは6メートル。
真ん前に立って、下から見上げれば
その大きさを実感する事が出来る。
海遊館や美ら海水族館のソレに比べたら
コンパクトな印象は受けるが…。
周囲に海のないこの立地で
この大きさの水槽は大きいんじゃないだろうか。
その…大水槽の中で…キラキラと
銀色にライトを受けて光っている
大量の鰯の群れが泳ぐ様子を
ぼんやりと下から見上げていると。
『日本三景…ってあるやろ?』
日本三景と言うのは、
宮城県の松島、京都の天橋立、
それから広島の宮島のことを
日本三景と呼ぶのだが。
「確か…京都の天橋立が…
日本三景…でしたよ…ね?」
『その天橋立は…京都の宮津
言う所にあるんやけどな…。
天橋立の鰯は…金樽鰯(きんたるいわし)
って言われとってな、
宮津でしか獲れへんねん
鰯ばっかり見とったけど、ここに
もっとええのん居るやん…』
そう言って水槽の中に泳いでいる
ある魚を…直哉が指さして居て。
『あれ、アマダイやん…
アマダイは美味い魚やで?』
アマダイはその別名をぐじと呼ばれて
京料理には欠かせない、高級魚だ。
『アマダイは…夏からやしなぁ…。
夏は…鱧も美味いし…。
俺、鱧も…好きやねんなぁ…』
しばらく…直哉の魚の料理が
美味しいお店についての話を
大水槽の前で聞かされながら
大水槽を眺めて。
その先から水族館の2階へと移動する。