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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第10章 京都水族館

建物の2階に移動すると、先ほど
相関図を眺めていたペンギンの
居る場所を上から見る事が出来る。

その先の大水槽も上から
別の視点で見る事が出来て。

ブブブッ…っとショーツに
セットされているオモチャが
不意打ちで振動して来て。

びくっと…一花が身体を
跳ねさせて口を塞ぐと、
それを操作している直哉の方を見た。

ニヤニヤとこっちを見ながら
嬉しそうな顔をして笑って居て。
一花は…直哉の方に
睨む様な恨めしい視線を向けた。

『そない、怖い顔せんといてぇな。
折角の可愛らしい顔が台無しやで?
ほら…あれ、あれ見てん。
クラゲぎょうさんおるで?
自分クラゲ好きそうな顔しとるし…』

「べ、別に…クラゲは…
嫌いでは…ないですけど…」

クラゲが好きそうな顔……、
それはどんな顔だろうかと
そんな風にも思わなくもないけど。

約30種類の…5000匹の
クラゲが展示されている
クラゲワンダーのエリアに足を踏み入れた。

このエリアの売りなのは、
一際存在感を放っている
グルリと呼ばれる水槽で。

外からは円形の水槽に
漂う様に泳ぐクラゲの姿を見れて、
トンネルをくぐって中から
四方360度をぐるり…と
クラゲに囲まれてクラゲの海に
迷い込んだ様な…自分が1匹の
クラゲになった様な…そんな感覚を
楽しむことが出来る水槽になっている。

ふよふよと…自分の周囲を
ミズクラゲが漂う姿を眺めていると
時間を…忘れてしまいそうだ。

『ほら…、やっぱり俺の
思った通りやんか。
自分、クラゲ好きやん』

30種類のクラゲが展示されている
とだけあって西日本では
ここだけに展示されている種類の
クラゲも居るのだそうで…。
見た事のないクラゲも…沢山居たりして。

クラゲのエリアを楽しんだ後は
その先にある交流エリアに
辿り着いた、ここにはナンヨウハギや
カクレクマノミと言った定番の
熱帯のカラフルなお魚や、
チンアナゴと言った
水族館の人気者も展示されている。

『イルカショーもあるみたいやで?』

すぐお隣は立派なイルカショーの
スタジアムになっていて、座席には
座って居る人の姿もまばらに見える。


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