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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第2章 直哉様のお屋敷
いただきますをして、
こっちに構う様子もなく
直哉様が…その膳に手を付け始めて。
もぐもぐと…夕食を摂る
その直哉様の姿を
しばらく私は見ていた。
いや…多分…睨んでしまっていた。
この人は…嫌味たらしく言って来るけど。
私に…食事を食べろと言うのも…、
自分の為に肉を付けろとそんな
言い方をしては…来ているが。
……俺の為やねんから、
遠慮せんと飯食えと…言ってる訳で。
『はよ食べや…、飯はな…
作ってくれた人がおるねんで?
美味しい内に食べな失礼やろ?』
そう…食べるのは止めずに
視線だけをこちらに向けて
直哉がそう…言って来て。
一花は…自分の前に
置かれている膳に目を向けた。
お刺身…に…酢の物…、
それから…ちょっとした小鉢…。
お味噌汁に…茶わん蒸し…
揚げたての…天ぷらの盛り合わせ…。
確かに…天ぷらは…揚げたてが
一番美味しいから…、
こうして…る間にも刻一刻として
美味しい…時間が…過ぎて行く。
一花が自分の手を合わせて。
「いただきます…」
『そうそう、はよ食べ』
そう…挨拶をすると…、箸を手に取って
自分のお膳の食事を食べ始めた。
一花が食事を食べる様子を…
直哉が…自分の食事を摂りながら見ていて。
ふっと…自分の口の端を曲げた。
『自分…箸の使い方…綺麗やな…。
それに…や、箸もやけど
食べ方も…綺麗や…ちゃんと…
パパとママが…自分に
愛情込めて躾けてくれた証拠やで?
自分の…その感じやったら、
ええとこの料亭でも…連れて行けんな』
良い所の…料亭…。
連れて行ける…?
「……私を…連れて行く…のですか?」
『せやで?なんか問題あるん?
だって…汚いオッサンの顔見て
飯食ったって…、折角なんぼ
美味いもん出されても不味なるやんか』
…神室寺家の…時期当主で…
特別1級の陰陽師…ともなれば…
政府の要人との…会食も…あるのか…。