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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第12章 嵐山

渡月橋が架かる川は大堰川と言う川で、
この大堰川の上流を保津川、
下流を桂川と言うのだそうだ。

橋の建材の一部には
ヒノキの木材が使われていて
周囲の自然の景観と橋が
溶け込む様な造りになっている。

『ちょっと前やったら
この辺りの桜が
満開で綺麗やったんやろうなぁ…』

「でも…”嵐山らしい”景色ですよ?」

『京都で嵐山言うたら、
ここのイメージやもんなぁ…』

そんな話をしながら渡月橋を渡る。

嵐山のシンボルである
渡月橋を渡った先は嵐山商店街で
嵐山のメインストリートだ。

お土産物屋さんや、お洒落なカフェ
お食事処などが数多く立ち並んでいる。
嵐山観光と言えばこの通りを
ぶらぶらするイメージだったのだが。

『おはようございます、
本日は…ご利用ありがとうございます』

と…声を掛けられて、
自分達の事なのか?と
周囲を見回してみたが
その人力車の俥夫(しゃふ)の男性の
視線は私と直哉様に向けられて居て。

『こっちこそ、あんがとーさん。
ほんなら、今日は世話なんで』

「人力車……」

『自分は乗った事あるん?人力車』

「いえ…、乗った事は…無いです…」

『お二人とも素敵なお着物ですし、
人力車…きっと映えますよ~。
お写真…撮らせて貰いますんで。
どうぞ…まずは…乗って下さい』

そう言われて促されるまま
人力車に乗り込んだ。

『じゃあ、出発させて頂きますね。
今日は…私、宮下匠が
嵐山を人力車で案内させて頂きます…。
途中途中記念撮影もじゃんじゃん
させて頂きますので…』

渡月橋を背景に
まずは人力車に乗っての
記念撮影をして貰って。

人力車での嵐山観光が始まった。

最初に人力車に揺られて
宮下さんに案内して貰ったのは
先程居た場所からほど近くの
京福電鉄嵐山線、通称『嵐電』の
嵐山駅にある…、SNS映えしそうな
キモノフォレストと言う場所。

『このキモノフォレストには、
600本の京友禅の柱が
設置されてるんですよ?
今の明るい時間も…鮮やかな
京友禅の色合いが楽しめますけど…
夜のキモノフォレストも…
また違った雰囲気でオススメです』

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