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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第12章 嵐山

嵐山商店街を
渡月橋の方へ向かって
りらっくま茶房からてくてくと歩く。

りらっくま茶房から
渡月橋まで戻って来て
さっきお昼ご飯を頂いた、
屋形船の乗り場のある川沿いの道を
直哉と一緒に歩く。

10分程歩いて、
あるお店の前で直哉が足を止めた。

『ここでお茶しようや』

ここに向かって来る道中も
リラックマ焼きを食べてたけど
と言うツッコミは出来ないけど。

「ここで…ですか…?」

辿り着いた先は…、
保津川を望む事が出来る
『茶寮 八翠』だ。

茶寮 八翠は
スターウッドホテル&リゾートの
最上級カテゴリーホテルブランドの
「翠嵐ラグジュアリー
コレクションホテル京都」の中にある茶寮。

入口の雰囲気からして
一般人は立ち入り難い雰囲気がある。

案内されたのは
嵐山の保津川の絶景を
楽しめるテラスの角の席だった。

この場所は、かつては
亀山殿の桟敷殿が存在した跡地で。

今は茶寮になっているこの建物は、
詩人の歌会が披露される社交場だった
旧八賞軒をリノベーションして
作られていて、この建物は
築100年を超える歴史的建造物なのだそうだ。

この茶寮自体は…座席の数も
そんなに多く無くて…席は埋まっていたので。
ここも…イズミさんが…、
前もって予約してくれていたのだろう。

テラス席の一番端の席で
隣のテーブルとは。
ちょっと距離を多めに離してあるし。

それに…注文をしてないのに
程なくして可愛らしい
和風のケーキスタンドで
八翠のおさんじが運ばれて来て。

ミニサイズの和スイーツと
お抹茶が頂けるセットの様だった。

『ドンペリ持って来てぇや』

保津川と嵐山の景色を眺めながら
シャンパングラスを傾けつつ。
スイーツを食べる直哉の姿を
ぼんやりとしながら眺めていて。

『どないしたん?食べへんの。
ああ、そうや、ここに
さっきのリラクマ乗せたるわ』

そう言ってケーキスタンドの
空いているスペースに
ちょこんとリラックマ焼きを
乗せてくれたんだけど。



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