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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第12章 嵐山

椅子の上に座って居る
直哉の膝の上に一花が座った。

後ろから肩に顎を乗せられながら、
窓の外に広がる景色を楽しむ。

『ええ眺めやなぁ…』

「ええ、さっきの茶寮からの
景色も素敵でしたけど。
お部屋からの眺望も素晴らしいです…」

『この眺め見ながら
露天風呂にも入れんで?』

「露天風呂…」

ピンポーンとインターフォンが鳴って
対応してと言われたので
部屋のドアを開くと。
ウエルカムフルーツが
綺麗にカットされて運ばれて来て。

普通はお部屋に置いてあるのを、
自分達の好きなタイミングで
カットをお願いする物だけど…。

カットされたフルーツと、
ちょっとしたお重の様な物
それからボトル入りのシャンパンを
ホテルのスタッフの人から受け取った。

これはどうやらホテルの
シャンパンディライトの
無料のサービスらしく。

お重にはちょっとしたおつまみとして
おかきとケークサレ
それと一緒に黒豆の
甘納豆が入れられて居て。

『一花ちゃんのは
ちゃんとノンアルのシャンパンやで
それやったら、飲めるやろ?』

「はい…頂きます」

この保津川の景色を眺められる
大きな窓際の特等席に
直哉の座って居る翡翠色の椅子の
隣に自分の椅子を並べると。

『せやったら、こっちに
この机持って来たら済むやん』

そう言って部屋の角の部分に
置かれている丸テーブルを
直哉が移動させて設置して。

窓際にふたりだけの
特等席が完成する。

『ほら、一花ちゃん
こっち、俺の隣…座りぃや』

「はい、ありがとうございます」

『グラス…こっち向けてん?』

「…はい」

お洒落なシャンパングラスに
シャンパンを注いで貰って。
直哉のグラスにシャンパンを
注いで乾杯をしてシャンパンを頂いた。

ノンアルコールのシャンパンなので
言ってしまえば白ブドウジュースだ。

程なくして…またインターフォンが
鳴ってまた一花が対応すると。
さっきの茶寮で頂いた翡翠もちに
バニラアイスが添えられた物が
こちらもサービスですのでと
お部屋に運ばれて来た。


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