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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第12章 嵐山

『ほんまはな、
…さっき茶飲んだ下にある
茶寮でシャンパンとか日本酒
飲ませてくれるらしいねんけど。
部屋まで持って来て言うて頼んだねん』

17時からの時間は
ホテルの宿泊者限定で
シャンパンディライトのサービスを
さっきの茶寮で提供しているのだそうだ。

それからしばらく直哉様が
飲むのに付き合う様にして
ノンアルコールのシャンパンを飲んで。

「直哉様。私は、お風呂の方の
お湯張りをしてまいります…」

タイミングを見計らって
広いお部屋の中央にある
ガラス張りの水回りエリアの
奥にあるお風呂場へと向かう。

お風呂は嵐山温泉を
引き入れた露天風呂になっていて。

周囲を木の塀で囲まれているので
半露天風呂…にイメージが
近いかも知れないが塀の上の方が
オープンになっているので
一応外と言う事…なのだろうが…。

お風呂にお湯張りをして
直哉の居るサンルームの様な場所に戻った。

『一花ちゃん
バスローブもあるねんけど…
浴衣用意しといてくれへん?』

お風呂場の入口の壁には
バスローブが掛けてあるが
直哉が浴衣を用意して欲しいと
一花に対して言って来て。

洗面台の部分の引き出しの中に
浴衣が用意されていると言うので
ガラス張りの水回りスペースに
また戻って浴衣の用意をしに行く。

引き出しを開くと、
青の男性用の浴衣と、
赤い女性用の浴衣が入っていて。

その赤い女性用の浴衣の上に
ラッピングされた箱が置かれていた。

「この箱…何だろう?」

洗面所の所にアメニティは
ひとしきり揃えられているので。
ドライヤーが袋に入って
置いてある場合とかもあるけど。
この箱はドライヤーが入るサイズではないので
ドライヤーでは無さそうな感じだ。

浴衣をすぐに着られる場所に置いて、
その箱を持って一花は直哉の所に戻った。

『ああ、それ…見つけたんやな。
そないな所にあったんかいな』

「あの、これは…ここのホテルの
サービスか何かですか?」

とは言っても…あんな場所に
入れられていたので
食べ物ではない事は確かだ。

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