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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第14章 番外編 須磨シーワールド 前編

「私は…この…今の生活に…
満足をして…おります…。
こうして…お稽古も
続けさせて頂いておりますし…」

お茶のお稽古の後は…、
私が和裁が出来ると知った直哉様が
夏向きの麻のしぼの入った反物を
買って来たから…1枚夏物の
着物を私に縫って欲しいと言ったので。

この座敷牢の中で…ちょっと前から
お稽古の間の空いている時間に
直哉様の夏物の着物を…縫っている。

上等の麻の小千谷縮だけど…、
夏物に好んで使われる織物で
お家の洗濯機でも洗えちゃうから…。
いつでも清潔な状態で着たい
夏のお着物にはピッタリの織物だ。

午後のお稽古の後から
テレビの音だけを聞いて
お夕飯の時間まで作業をして。
運ばれて来たお夕飯を食べた。

この座敷牢の中には
おトイレはあるがお風呂はないので
熱い蒸しタオルを用意してくれたので。

その蒸しタオルで身体を拭いて、
寝巻に着替えをした。

寝るまでの時間も…着物を縫う作業の
続きをしていると…直哉様から
持たせて貰っているスマホに
電話が掛かって来て。
お仕事は無事に終わったので、
明日帰って来るのだそうだ…。

お土産に生チョコレートと
チーズケーキと…いかめしを
買って来てくれると言って居て。

生チョコレートと
チーズケーキといかめし
と言う…そのラインナップに
お仕事の場所が北海道だと気が付いた。

行先が北海道だったら泊りだろうし、
…北海道のどこかによって
その先の移動も…大変だろう…。

「直哉様は…
北海道でお仕事だったのですか?」

『せやで?
偶に地方の仕事もあるんやって。
マリモ買って帰ろか?欲しい?』

「マリモ」

北海道でマリモと言えば阿寒湖だけど
その辺りでお仕事をしたのだろうか?
今は札幌のホテルに居るらしいけど。
仕事は別の場所だったみたいだった。

『明日は夕方には帰れるで?
俺がおらんくて寂しいんとちゃう?』

「大丈夫…っです…、子供じゃ…
ありませんから…お留守番ぐらい
ちゃんと…できますし…それに
オオサンショウウオと一緒に寝ますので」

『なぁ…、お願いがあるんやけどな。
寝る前にちょっとだけ…
一花ちゃんのえっちな声
聞かせてくれへんやろか…?』


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