この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第14章 番外編 須磨シーワールド 前編
「あの…直哉様…。
考えて置く様にと言われていた
宿題の…方の…事なのですが……」
そう…会話の区切りで
考えて置く様にと言われていた
ご褒美の話を一花は切り出した。
『ああ、この前のご褒美の話やな?
何か…ええもん思いついたんかいな?』
ある場所に行きたいと…
そう…前フリをして…。
『んで、なんか欲しいん?
それとも、どっか行きたいん?』
「その…昨日…オープンした…
須磨のシーワールドに……
その、行ってみたい…なぁ…って…」
『須磨しーわーるどぉ?
あ、…ああ、あれか…
スマスイやったとこの事やな?』
スマスイと言われて
こっちはピンと来なかったのだが。
昨日オープンした須磨シーワールドは
地元の人に長年愛されていた
須磨海浜水族園が綺麗に
リニューアルオープンした物で。
須磨海浜水族園の通称がスマスイなのだそうだ。
『自分、ホンマに水族館好きやなぁ…。
まぁ…昨日オープンしたばっかりやろ?
行くんやったら平日の方が、
混んどらへんで、魚もゆっくり
観れるんとちゃう?確か…
あの辺りの一帯も綺麗になって
なんやホテルも出来とる言うらしいやん?』
テレビのニュースで見た情報しか
私は知らなかったので、
ホテルも同時オープンですとは
そんな感じに言ってた様な気がするけど。
須磨シーワールドは
須磨海浜公園の一角にあって。
その公園の中に須磨海水浴場や
スタバとかのショップや…
サッカーや野球のグランドや
ちょっとしたイベントスペース。
それから全室オーシャンビューの
須磨シーワールドホテルがあるのだそうだ。
『でも丁度良かったわ……、
そこのホテル…良かったからって
直哉君も泊まらへんかって
大嶋先生が…自分と一緒に
行っておいでって…
言うてくれてはんねん』
大嶋先生と言うのは…、
前に…先斗町の料亭で
一緒に舞妓さんとお座敷遊びをした…
あの…大嶋先生しか知らないのだけども。
そう言えば大嶋先生は
先日の川床の宴席にも招待されて居たし
お偉いさん方の中でも、直哉様と
交流する機会が多い1人だ。
『先生は…初日に舞妓さん3人連れて
泊りで行って来た言うとったで?
ほんま、ええ歳してんのに、
タフな…オッサンやで…先生は』
そう話しながら直哉が
電話の向こうで笑って居て。