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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第6章 もう1つのお土産

一花が自分の不甲斐なさに
自己嫌悪に…陥りそうになって居ると。

『俺が…調子乗って…、
一花ちゃんが可愛いさかいに
長い事、風呂で遊び過ぎたからなぁ…。
あっち行って…お布団で
一緒にゆっくりしようか…?』

そう言って…直哉が優しく
声を掛けてくれるので、
余計に…泣きそうになりつつも、
ぐっと一花は涙を堪えた。

お姫様抱っこで
脱衣場から…錦鯉の間まで
直哉に抱かれて運ばれてしまって。

ドッドッドッ…と自分の心臓が
どうにも…騒がしいのは…、
のぼせてしまって…心拍数が
上がってしまって居る…動悸なのか…。

それとも…別の何かの所為なのか…?

錦鯉の間には…布団が2組
隙間の無い状態で用意されていて。

その布団の上に直哉が
一花の身体を降ろすと。

使用人に命令をして、
冷たい水の入った洗面器を用意させて。
その洗面器にタオルを浸して絞ると。

一花の寝巻が濡れない様に
ぐいっと…上に捲り上げて来て。

「な…、直哉…様?」

『風呂入ってのぼせた時はな…
足冷やしたら楽なんねんで?』

冷たい水で絞ったタオルで
片足を包まれて、
また温くなったタオルを
水に浸して絞ると
今度は反対の足を冷やされる。

「……な…なんだか…マシに
なって来た様な…気がします…」

『なら…ちょっと身体起こして
……水…飲もか…?
のぼせた時は…冷たい水は
身体びっくりしてまうからあかんねん』

そう言って枕元に用意されていた
水を…グラスに注ぐと
グイっと煽る様にして口に含むと。
そのまま…こっちの口に
押し込む様にして…水を流し込んで来て。

水…?口移し…されてる?

ごく…っと…その口の中に
こっちの意志とは無関係に
流し込まれる水を反射的に飲み込むが…。

自分の唇に…押し付けられている、
その…直哉の唇の感触は…
まだ…離れていく…気配がなくて…。

キス……っ……してる?

今…、直哉様に…キス…されてる?

と…思わず…その顔を…見てしまって居て。


直哉の眉間に…皺が寄るのが見えて。

機嫌を損ねているのが分かった。



そうだった……目を瞑れ…だ…。




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