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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第7章 直哉様とお出掛け
直哉の顔が…近付いて来て。
教えられたように…自分の瞼を閉じると。
ちゅ…っと…、自分の唇に
直哉様の唇が重なったのを感じて。
唇に唇が…重なっていた…
その……わずかな時間が…終わって…。
唇が…自分の唇から…離れていく…
その感覚を…感じた時に…。
思わず…自分でも…つい…反射的に
直哉様の袖を…掴んでしまって居た。
クスッ…と…笑い声が上から降って来て。
『ん~、何で一花ちゃんは、
俺の、そんなトコ掴んどんの?
もしかして…、俺と…
もっと…チューしときたかったん?』
カァアアアアッ……
今の自分の顔は…赤い金魚よりも
真っ赤になってるんじゃないかって。
そんな風に思う程に…、顔が熱くて。
『ホンマに…、一花ちゃんは
からかい甲斐があって、しゃーないわ。
顔…真っ赤やで?…一花』
いつもの…自分とか…アンタとか
そんな呼び方でも、
一花ちゃん…でも無くて
呼び捨てにされて呼ばれて…。
『そのまま…目、閉じとき…』
「……直哉…さ、…ンッ…」
こっちからの言葉を、
直哉が遮る様にして
口を人差し指で押さえられて
それ以上…言葉を紡げなくなる。
言葉を…奪った人差し指が
ツツツ…と私の唇をなぞって来て。
伏し目がちに…こちらの顔を見つめる
直哉様の…表情に……凄い…
…男性的な…色気…みたいなのを…
感じ取ってしまって……。
スッと…言われた通りに
一花は自分の瞼を閉じた。
自分の唇に…直哉様の唇が触れて。
ちゅ…ちゅ…と…触れては
離れて…、また触れては離れる。
数秒…ぐらいの短いキスを繰り返される。